年間第4主日(C年)

 

福音:ルカ4:21-30


「預言者は、自分の故郷では歓迎されないものだ」(ルカ4:24

 

 きょうの福音は、イエスが自分の故郷であるナザレの人々から拒絶された出来事を語る。ナザレでの拒絶の出来事はどの共観福音書にも見られるが、ルカ福音書では、イエスの宣教活動の最初に置かれている。「反対を受けるしるしとして定められている」(2:34)イエスの宣教活動の第一歩は、まさに人々の拒絶のなかで始まったということをルカは強調したいのだろう。

 ナザレの人々の不信仰に対してイエスは、列王記に記されている二つの出来事を引き合いに出す。それは、エリヤがシドンのサレプタの未亡人のもとに遣わされたこと(王上17章)、エリシャがシリアのナアマンの病気を癒したこと(王下5章)である。どちらも異邦人がイスラエルの預言者を通して神の恵み(救い)を得た出来事である。これによってイエスは、ご自分の宣教活動がこの旧約時代の二人の預言者の行為と同じようになるだろうということを示す。つまり、イエスの教えと業は、イスラエルの不信仰のゆえに異邦人に向けられることになるというのである。

 このようなイエスの言葉を聞いた人々は激しく怒り、イエスを「町の外へ」追い出し、彼を殺そうとする(29節)。「町の外」は、イエスが十字架につけられた場所を暗示する。ついに、イエスは「人々の間を通り抜けて立ち去られ」る(30節)。この結びの表現は、イスラエルの不信仰のただ中で宣教の旅を続けていったイエスの姿をよく表している。このように考えるなら、イエスの宣教活動の冒頭を飾るナザレでの出来事は、彼の宣教活動全体を象徴するものと言えるだろう。

 キリスト者を取り巻く世界には、イエスの教えに相反するものが多く見られる。イエスの教えに忠実に従おうとするなら、さまざまな拒絶に出会うにちがいない。きょうの福音を通して示されるイエスの姿に励まされて、世の拒絶を恐れずにイエスに従って歩んでいこう。