カトリック高蔵寺教会報

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2017326

コ ル ベ

 カトリック高蔵寺教会

       〒487-0032

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夢の力

                                     主任司祭 椎尾匡文

 1980年のアメリカ、アリゾナ州でのことです。クリスという名の7歳の白血病の男の子の具合が悪くなり、難しい状況になりました。彼の夢は、大人になったら、かっこいい立派な警察官になることだったのに

 この話を聞いた州警察のおまわりさんたちは、クリスの夢をかなえて元気づけてあげようと計画を立て実行に移しました。本物そっくりの制服とヘルメット、それにバッジを用意して、クリスを名誉警察官に任命したのです。クリスは大喜びで、規則どおりに宣誓をして、さまざまな任務にあたりました。空からの監視用のヘリコプターにも、行列を作って走るパトカーにも乗せてもらって、大喜びをしました。

 その五日後にクリスは亡くなりました。大切な楽しい思い出を胸に抱いたまま。おまわりさんたちは、盛大な葬儀を執り行いました。ほんの短い間でしたが、クリスの夢はかなえられたのです。クリスの夢の実現にかかわった人々は、クリスと同じように残された時間が限られてしまっている子どもたちの抱いている大きな夢を思いました。

 そしてできあがったのが、「メイク・ア・ウイッシュ」という国際的なボランティア団体です。現在ではたくさんの国に支部があり、日本にもその支部(メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパン)が1992年にできています。

 1992年、夫の仕事で沖縄にいたスーザン・アルブライトというアメリカ人女性は、日本にはメイク・ア・ウイッシュの活動が存在しないことを知って、「病室の窓から見える遊園地で遊びたい」と願った小学生の男の子(五歳のときに小児がんを発病)の夢を自らの力でかなえました。それが日本支部のスタートとなりました。

次に彼女が取り組んだのは、再生不良貧血(骨髄で血液が再生できず、常に輸血を必要とする難病)を抱える沖縄に住む14歳の少女の夢、「チャゲ&飛鳥のコンサートが見たい」というものでした。しかし、この夢を実現するためにはすべてが不足していました。そこでメイク・ア・ウイッシュの本部に相談をもちかけたところ、「ミリオンダラー・ラウンドテーブル」の日本支部を紹介されました。ミリオンダラー・ラウンドテーブルとは、世界中の生命保険会社セールスマンのうちの成績上位6パーセントのものだけが集まる組織です。その1993年の日本会議で、彼女は日本でのメイク・ア・ウイッシュ活動に対する援助を訴えました。これに応えたのが、プルデンシャル生命の営業マンであり、後に日本支部の代表を務めることになる八木昌実さんです。

 八木さんを中心にしたたくさんの人の協力によって、14歳の少女の夢は札幌でかなえられました。それだけではありません。奇跡が起こったのです。彼女の容体は、チャゲ&飛鳥に会えるとわかった日から、奇跡的な変化を起こし始め、札幌に出かけて行く頃には、もう輸血が必要ない状態にまで回復していました。その後、障がい者のための音楽教育を目指した彼女は、2003年に大学院を卒業し、病気とは無縁の生活を送っています。

 八木さんは、子どもたちが夢を実現させたとき、彼の目の前で、彼の想像を超える変化を見せるのを何度も見てきました。「夢の力ってすごいですよ。夢をもつことで、子どものからだの中に、わたしたちでは考えられないような特別な力が生れてくることがあるんです。」

  年を追うごとに、そして組織の知名度が上がるにつれて、実現させた夢の数は増え続けました。事務局長の大野寿子さんはこう言います。「メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパンは"最後の夢を実現するお手伝いをしているのではなくて、生きる力をもつための夢の実現に協力しているのです。」

 

 (興味のある方は以下の本をお読みください。 *矢野隆『いのちの夢 難病の子どもたちがねがったこと』草思社 2004年、*細谷亮太『いつもいいことさがし 小児科医が見た日本の子どもたちとおとなたち』暮しの手帖社 2005年)


ユスト高山右近列福式に参加して

                                          M・A

ユスト高山右近の列福式のお知らせを知り、高蔵寺教会から聖歌奉仕グループとして是非参加しましょうと集まったのが、私達総勢8名でした。

早速、9月初めに申込書を送り、服装のこと、交通手段のこと、食事のこと、と話が弾みました。

12月にはミサの資料、楽譜が送付されてきました。グレゴリアンや、「主こそ わが光」「迷いを捨てて」(イメージソング)と新しい曲もありましたが徐々に練習を重ねれば、何とかなると思っていました。

その後、ベトナム語、韓国語、タガログ語の3曲が送られ、かなり苦労をしながらも、Mさん、Oさんに教えを請い声を枯らしながら練習に励みました。

当日は、この時期としては天候に恵まれ、早朝6時前に高蔵寺を出発し、9時からのリハーサルにはいり、2時間熱心に指導がありました。

列福式のミサは、大変よく準備され、順調に荘厳に進行し、私達900名の近畿カトリック学校の学生、全国の信徒聖歌隊は気持良く、和やかに参加することができました。

初めて出会う900名の人々がこんなに心をひとつにして歌い、一万人近い人々がこの列福を喜び感謝の気持ちで満たされたミサに感激いたしました。

個人的には後輩のオーケストラの演奏を聴き、60年前の女学院時代の楽しく、厳しかった練習を思い出していました。

帰りに立ち寄った、大阪教区カテドラルである玉造教会の「細川ガラシア」の祭壇画にも、また60年ぶりに出会い懐かしさでいっぱいの旅となりました。

あちらこちらで、「今日はおめでとうございます」という言葉を耳にして、やはり「神のしもべユスト高山右近」は、日本のカトリック教会の歩みの中で、その信仰生活、霊性の神秘性を感じ、学ばなければならない先輩であると思いました。


高蔵寺ニュータウン キリスト教連合会 合同祈祷会に参加して

                                          M・T

高蔵寺ニュータウン地域にあるカトリック高蔵寺教会はじめ日本基督教団高蔵寺ニュータウン教会、日本福音ルーテル高蔵寺教会のキリスト教教会は、互いを尊重しながら幹事持ち回りで、長年にわたって地域の福音宣教のためキリスト教一致活動を行っています。

2016年度はカトリックが幹事を担当して年間活動を進め、年度最終行事となる合同祈祷会を34日、カトリック教会で行いました。

合同祈祷会は、復活の主日の早天礼拝として過去から継続して行ってきましたが、昨年度から多くの人が集まりやすい世界祈祷日の翌土曜日午後に合同祈祷会を行うことにしました。

今回の合同祈祷会では、初めて教会の牧師、神父の方々が祭服で共同司式を行い、教会の信徒が一堂に会して、まさにキリスト教一致の姿を具体的に感じることができました。

聖書朗読はヨハネ17章。福音宣教のためイエス・キリストが人々に一致を求める内容でした。椎尾神父は説教の中で、ユダヤ教から分離し、迫害を受ける「ヨハネ教会」の宣教とは、光と闇に分けられた中で光が闇の世界に広がって一致することを目指すものであると説かれ、キリスト教一致にふさわしい説教でした。派遣の祝福も牧師、神父が三名揃ってしてくださり、貴重な経験でした。

祈祷会後の茶話会では、各教会信徒が入り混じって、聖書の解釈が勉強になったなど懇親と互いの理解を深め、2016年度を締めくくりました。四旬節中の祈りが豊かになるだろうと感じました。来年度は日本基督教団が幹事を行います。