2019年5月5日 福音によせて

復活節第3主日 C年

 

福音=ヨハネ21:1-14


「イエスはティベリアス湖畔で、また弟子たちに御自身を現された」(ヨハネ21:1)

 

 きょうの福音で特徴的なことは、「食べ物」が話の中心になっていることだ。復活されたイエスは、弟子たちに食べ物があるかどうか尋ね、魚を与える。それだけではなく、すでに魚を料理していて、パンと共に弟子たちに食べさせた、とある。

そこで「魚」という言葉に注目してみると、きょうの福音の中では「魚」を表す三つの言葉が使われていることがわかる。それは「生き物としての魚」と「おかずとしての魚」の二つに大別される。ガリラヤ湖周辺で生活していた人々にとって「おかず」と言えば、ガリラヤ湖でとれる魚が代表的なものだったろう。主が与えてくださる「おかずとしての魚」、それは「日毎の糧」と言える。

ところで、「生き物としての魚」を表すギリシア語イクシュスは、「イエス・キリスト、我らの神」の頭文字を綴り合わせたものであることから、早くからキリスト教(徒)の象徴として「魚」が使われていたようだ。このことから考えるなら、主が与えてくださる「魚」とはキリスト信者のことでもあり、弟子たちの宣教活動-「人間をとる漁師」(マコ1:17および並行箇所)-の実りは、主御自身が与えてくださるということなのだろう。

イエスは復活体験を通して弟子たちに二つのことを教える-これから派遣されて行う宣教活動を主はいつも導いてくださる。そして宣教活動に従事する弟子たちの日毎の生活を主がいつも備えてくださる-。この二つのことをイエスはまず彼らに体験させたと言える。主が与えてくださる「二つの魚」に信頼して、弟子たちは主の死と復活を告げ知らせる証人となっていった。

 

 [※きょうの福音の後半(ヨハネ21:15-19)は、復活節第4主日(C年)の「福音によせて」をご覧ください。]