2018年7月15日 福音によせて

年間第15主日(B年)

福音=マルコ 6:7-13


「イエスは十二人を呼び寄せ、二人ずつ組にして遣わすことにされた」(マルコ 6:7

 

 共観福音書には「十二人の選び」と「十二人の派遣」の記事が見られる。きょうの福音は後者で、前者は 3:13-19である。マタイでは10:1-410:5-15、ルカでは 6:12-169:1-6がこれらと並行する。マタイとルカはこの「十二人」を「使徒」と呼ぶが(マタ10:2、ルカ 6:13)、マルコは使徒と呼ばない(マコ3:13「使徒と名付けられた」は後代の付加とされる)。カトリックの新約聖書学者であるレイモンド・E・ブラウン神父は、新約聖書の使徒について次のように述べる(石川康輔監訳『旅する教会 使徒たちが遺した共同体』ドン・ボスコ社 1998年、P.18-19)。

 新約聖書では多くの人間が「使徒」と呼ばれていますが、わたしたちがその中で本当に詳しく知っているのはたった三人だけです。まず、十二使徒の話から始めましょう。そのほとんどは名前だけしか知られていません。イスカリオテのユダを除くと、十二使徒の中では最初の四人が際立っています。すなわち、二組の兄弟、ペトロとアンデレ、ヤコブとヨハネです。福音書の中でこの四人はいつも、イエスに同伴する者として描かれています。しかし、アンデレは新約の描く初代教会の物語から消えています。ヤコブは40年代の初期に殉教しました(使12:2)。また、ヨハネはいくつかの場面(使 3:1; 4:13; 8:14; ガラ 2:9)でペトロに影のように付き添う存在としてしか描かれていません。後代の伝承において、ヨハネは第四福音書の「イエスに愛された弟子」とされたことから、外典などでその伝記は膨らまされましたが、確かなことは何も分かっていません。従って、事実上、十二使徒の中ではペトロだけが、ガラテアやコリントの教会に宛てて書かれたパウロ書簡、使徒言行録、ペトロ書簡の伝承のおかげで、教会を導く人物としての功績が知られている唯一の使徒になっているのです。十二使徒以外では、わたしたちは使徒パウロについて、その名が冠せられた十三通の書簡と使徒言行録に描かれている伝記的な記述のおかげで、よく知っています。「主の兄弟ヤコブ」(マコ 6:3)も十二使徒ではありませんが、使徒だったのでしょう。ヤコブがエルサレムにおける原始母教会の長だったことは、パウロ書簡と使徒言行録によって証言されています。また、彼の名によって書かれた書簡も新約聖書に入っていますし、ユダの手紙も、その著者はヤコブの兄弟であるとされています。合理的で信頼できる伝承によれば、ペトロとパウロは60年代にローマで死に、ヤコブも同じく60年代にエルサレムで死んでいます。百年を三分の一で区切るとすると、紀元1世紀を三等分した第二区分の終わりである紀元67年には、わたしたちが新約聖書によって詳しく知っている三人の使徒は、宣教の場面から消え去っているのです。  カトリック教会の伝承では、新約聖書の書かれた時代と使徒時代は同じ時代とされるが、現代では、ほとんどの新約聖書の文書は使徒として知られる人物が亡くなった後に書かれたと考えられている。